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副業・パートを掛け持ちする主婦が知っておきたい確定申告の基礎知識

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確定申告

「夫の稼ぎでは生活が苦しいから収入を増やしたい!」、「副業・パートの掛け持ちで夫に迷惑かかるのか?」

副業・パートを掛け持ちすると税金について悩むことが増えますよね。収入を増やすことは家計の助けにもなりますが、一定の収入を超えると確定申告の義務が発生しますし、旦那さんの税金が増えてしまうこともあります。

この記事では、副業・パートを掛け持ちしている主婦を対象に関係する税金の基礎知識についてご紹介します。また、あわせて確定申告の手続きについても解説しますので参考にしてみてください。

ヒント
かおり
税金について正しく理解して節税を目指しましょう

確定申告は国民の義務です

小学生の社会の教科書にも載っている国民の3大義務のひとつに「日本国憲法第30条 納税の義務」があり、日本国民は原則全員確定申告をしなければなりません。

しかし、私たちが個人が税務署に出向いて確定申告の手続きを行うと、役所の負担が増えすぎてしまうため、国の政策として企業等の法人が従業員の税金を代わりに納める制度を確立しました。この制度により、勤め先があなたの1年間の給与所得に応じた所得税(源泉所得税)を計算し、給与から天引きしてくれます。

これが年末調整です。

「納税なんてしたことない!」と思っている人が大半ですが、実はしっかり納税しています。

日本人は会社に勤めている人がほとんどですが、会社があなたの支払うべき税金を代わりに納めているということを忘れないようにしましょう。

年末調整をしても、副業・パート掛け持ちで確定申告の義務が発生する

結論からいうと年末調整をしても確定申告が必要になるケースがあります。

まずは、給与所得者でも確定申告が必要な6つのケースを確認しましょう。

  • 給料収入が2000万円を超えている人
  • 給料を1カ所から受けていて、かつ源泉徴収の対象となる所得の合計額が20万円を超える人
  • 給料を2カ所以上から受けていて、かつ年末調整しなかった給与所得の合計額が20万円を超える人
  • 同族会社から給与を受けていて、店舗などの賃借料等を受けている人
  • 外国公館に勤務する人で、給与の支払いを受けるときに、源泉徴収されていない人
  • 夫の扶養から外れ、年間103万円以上の給与所得を得ている人

次に、年末調整では控除することができない4つの控除をご紹介します。これらの所得控除や税額控除に該当する人は、年末調整した場合でも確定申告をしたほうがより税制面で優遇されます。

医療費控除

医療費控除とは、本人または生計を一にする配偶者が医療費(病院や薬)を支払った場合に、医療費控除として所得から差し引ける所得控除です。

医療費控除の計算式

(1年間に支払った医療費の総額 - 保険金等で補填された金額) - (総所得金額等の合計額5%と10万円のいずれか少ない方) = 控除額(最高200万円)

総所得金額等の合計額5%というのは、総所得金額等の200万円未満の人を指します。所得が100万円の人であれば5万円を超えた分が控除対象となるということです

寄付金控除(ふるさと納税)

寄付金控除とは、本人が特定寄付金(赤十字やふるさと納税への寄付)を支出した場合に所得から差し引ける所得控除です。

寄付金控除の計算式

(特定寄付金額または総所得金額等の40%いずれか少ない方) - 2000円 = 控除額

ふるさと納税に関しては、一定の条件を満たすと「ワンストップ特例制度」を受けられ、確定申告が免除されることもあります。

雑損控除

本人または本人と生計を一にする総所得金額が38万円以下の家族が所有する財産(資産等)が災害や盗難による損失を受けた場合に受けられる所得控除です。

雑損控除の計算式

(損失額 - 総所得金額 x 10%) = 控除額または(損失額のうち災害支出の金額 - 5万円) = 控除額のいずれか多い方

被害額が大きく控除しきれない金額がある場合は、3年間繰り越すことができるのも雑損控除の特徴です。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

控除を受ける本人が住宅を取得するために住宅ローンを借り入れた場合、一定の住宅の取得等であれば10年間にわたり所得税額から控除(税額控除)できます。

給与所得者の場合は、初年度だけ確定申告を行うと翌年から年末調整で控除が受けられます。

副業時代の突入で主婦も税金の申告が必要になる

数年前までは、会社の就業規則により副業禁止があたりまえの時代でした。

現在は働き方改革の影響もあり、副業や掛け持ちを承諾している会社が増えてきています。税制面でも配偶者特別控除額の引き上げなど、国が積極的に働く主婦を応援しています。

しかし一方で、収入があがることにより税制面での優遇措置が受けられくなり、所得税や住民税の申告義務が生じることもあります。そのため、主婦であっても納税について正しい知識を知っておくことは不可欠です。

住民税の申告が必要になる4つのケース

はじめに住民税とは、原則、前年中に得た所得に応じて課される税金で、各自治体が計算し、毎年6月頃に自宅へ住民税の決定通知書が届きます。

確定申告時に普通徴収を選択した場合

勤務先で年末調整をした主婦で、別途住民税の確定申告が必要になるケースは下記のとおりです。

  • 給与所得以外にも所得がある人(20万円超)
  • 退職などで年末調整をしていない給与所得者
  • 後期高齢者医療保険料・介護保険料の減額・国民健康保険料・国民年金・免除の申請をする場合

ひとつでも該当する場合は、税務署や市町村等の各自治体に相談してみてください。

確定申告の手続きを4つのステップで解説

所得税等の確定申告は2月16日~3月15日までに、所轄の税務署に提出しなければなりません。

確定申告の手続きは以下の4つのステップで行ってください。

  1. 書類の準備 ・・・ 源泉徴収票や控除証明書(生命保険控除証明書や住宅ローン控除証明書)
  2. 申告書の作成 ・・・ 給与所得者のみの人は確定申告書A 事業所得のがある人は確定申告書B
  3. 申告書を所轄の税務署に提出 ・・・ 住所地等の所轄税務署に提出(国税庁HPで確認できます)
  4. 金融機関等で納付または還付 ・・・ 振替納税、現金、e-Taxで納税または還付

納税ではなく還付される場合は、還付される銀行口座も必要なので忘れないようにしましょう。

また、振替納税を希望される人は、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」に必要事項を記載し、通帳に使用している銀行印を押して確定申告書と一緒に税務署に提出するか、金融機関へ提出してください。

振替納税を選択した人は、4月20日に銀行口座から自動的に引き落とされます。

この時に納付額より残高が少ない場合は、納税できないと判断され、ペナルティを課される恐れもありますので十分注意してください。

副業・パート掛け持ちは本業の勤め先にバレる?

国が副業を積極的に進めているといっても、未だに副業をよしとしない会社はたくさんあります。

本業である勤め先に副業・パートの掛け持ちを知られないために注目したいポイントは住民税です。

副業やパートの掛け持ちによって収入が増えると、それに応じて住民税も多く納めることになります。通常、住民税の決定通知書は給料を多くもらっている方の会社に送付されるため、住民税額が不自然だと気づかれ、他で収入を得ていることがバレてしまう恐れがあります。

そこで、会社に副業やパートの掛け持ちを知られないようにするための対策策として、確定申告を行う時に「特別徴収」から「普通徴収」に変更します。普通徴収にすると、自身で金融機関等で税金を納付する手間が増えますが、勤め先に副業分の住民税が通知されず、住民税の決定通知書が自宅へ届くようになります。

納付は6月、8月、10月、翌年1月に分けて行います。1回にまとめて4回分を納めることも可能です

ただここ最近、各自治体で特別徴収をするよう呼びかけており、普通徴収にできない場合もあります。

会社の就業規則や自治体の状況をよく確認してから働くようにしましょう。

節税と脱税はまったく別物!

確定申告は忘れていたでは済まされない制度です。

申告漏れなどがあると、無申告加算税や延滞税、重加算税が課され、本来納付しなければいけない金額より高い税金を納めることもありえます。

徴収職員は、税金を滞納している人の自宅に強制捜査する権限(国税徴収法142)をもっています。自宅の資産差押えや口座を凍結などが発生しないように日ごろから注意しておき、万が一忘れていた場合は速やかに支払うようにしましょう。

この記事のポイントをおさらいしましょう!

この記事のポイントは以下のとおりです

  • 日本国民は全員確定申告が必要ですが、年末調整により、勤め先があなたの給与所得に応じた所得税(源泉所得税)を天引きしてくれます。
  • 年末調整をしても、副業・パート掛け持ちで確定申告の義務が発生することがある。
  • 収入があがることにより税制面での優遇措置が受けられくなり、所得税や住民税の申告義務が生じることもあるため、主婦も納税について正しい知識を知っておくことが不可欠。
  • 住民税とは、原則、前年中に得た所得に応じて課される税金で、各自治体が計算して毎年6月頃に決定通知書が自宅に届く。
  • 所得税等の確定申告は2月16日~3月15日までに、所轄の税務署に提出しなければならない。
  • 確定申告を行う時に「特別徴収」から「普通徴収」に変更すると、副業やパートの掛け持ちが本業にバレるリスクを減らすことができる。
  • 申告漏れなどがあると、無申告加算税や延滞税、重加算税が課され、本来納付しなければいけない金額より高い税金を納めることもある。

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