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うっかり脱税!?在宅ワーク・副業で絶対気をつけたい税金の話

投稿日:2019年2月5日 更新日:

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あなたは在宅ワークのような働き方にも納税義務があることをご存知ですか?

最近ちょっとしたお小遣い稼ぎとして、在宅ワークを使って副業に挑戦する人が増えています。仕事と税金は切っても切れない関係にありますが、在宅ワークなどの簡単な仕事を「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」のようなイメージでとらえていると、ついうっかり税金のことを忘れてしまいがちです。

この記事では、在宅ワークなど活用して働いている人を対象に、絶対知っておきたい税金に関する知識をご紹介したいと思います。

かおり
税金のことを正しく理解してから仕事をしたほうが安心できますね!

所得税と住民税の納税義務はその年の所得に依存する

まず、税金の種類について勉強しましょう。収入に関係する税金として、国に納める「所得税」とお住まいの自治体に納める「住民税」があります。

所得税と住民税はともに「所得」に対して課される税金です。所得とは、収入(売上)から通信費や雑費などの必要経費を差し引いたものです。

所得の計算式

収入(売上) - 必要経費 = 所得

また、この所得から所得控除を差し引いた額を「課税所得」といいます。以下の計算式で課税所得があると納税義務が生じます。

課税所得の計算式

所得 - 所得控除 = 課税所得

メモ

仕事の内容によっては、分離課税(株式・建物・土地などの売却)として税金を納めることもありますが、この記事ではポイ活や在宅ワークで収入を得たケースを前提に所得税と住民税に絞って解説します。

在宅ワーク?副業?税金の壁はワークスタイルで変わる

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よく「税金の壁」って聞くけどなんのことでしょう?
めぐみ

課税所得があると、所得税や住民税の納税義務が生じたり、扶養に外れたりするなど、節税の観点でデメリットになる場合があります。

パート・アルバイトで働いている人のなかには、「年収が103万円を超えると納める税金が増えてしまうからシフトを調整している」という人もいますよね。これは課税所得が発生する境界が103万円にあり、それを見極めて節税効果を狙っているためです。

課税所得が発生する境界。すなわち税金の壁は、ワークスタイルや生活環境に応じていくつかあります。

所得税の壁は2段階、平成30年からは新たな壁も登場

所得を得た人が国に対して納める税金が「所得税」です。所得税にはワークスタイルに応じて2つの控除があるため、税金の壁も2段階になっています。

誰でも使える基礎控除38万円の壁

基礎控除は所得のある人すべてに一律で適用される控除のことです。所得税の基礎控除は38万円とされており、課税所得の計算に使うことができます。

計算式は以下のとおりです。

課税所得の計算式

給与年収 - 基礎控除額(38万円)= 課税所得

個人事業主やフリーランス、専業主婦など給与収入がない人は、次に紹介する給与所得控除が使えないため、基礎控除額だけを使って課税所得を計算します。

課税所得の計算式

収入(売上) - 基礎控除額(38万円) = 課税所得

なお、収入が38万円以下の場合は所得税が0円になるため、課税所得を考える必要すらありません。

被雇用者の給与収入103万円の壁

サラリーマン、公務員、パート・アルバイトなど、誰かに雇用されている人は基礎控除に加えて65万円の給与所得控除が適用されます。

給与所得控除は年収が低いほど控除の割合が高いのが特徴で、年収によって計算式が異なります。

例えば、年間の給与収入が180万円以下の場合は収入の40%を控除できます。また、給与所得控除額が65万円未満の場合は一律65万円を控除できます。

そのほかの年収についても給与所得控除額がありますが、金額は年度単位で頻繁に変更されています。給与所得控除額を計算するときは、変更が多いということを念頭に、最新の情報を確認することをおすすめします。

国税庁 - No.1410 給与所得控除

課税所得をゼロにするためには、基礎控除38万円に給与所得控除65万円を加えた合計103万円を超えないようにする必要があります。

課税所得の計算式

給与年収(103万円) - 給与所得控除額(65万円) - 基礎控除額(38万円)= 課税所得(0円)

なお、課税所得があると配偶者控除や配偶者特別控除が適用できず、旦那さんの納税額が増えてしまうこともあります。「一生懸命働いたけど、家計全体でみたら税金が増えて損をした」ということもありえますので、給与年収については注意が必要です。

平性30年以降にできた150万円の壁

平性30年(2018年)からは新しく150万円という壁ができました。

これまで、世帯主(旦那さん)が38万円の配偶者控除を受けるには、配偶者(奥さん)の給与年収を103万円以下に抑える必要がありましたが、今回の改正により配偶者特別控除が拡大されたので、奥さんの給与収入が103万円超150万円以下であれば、旦那さんが最大38万円の所得控除を受けることができるようになりました。

これにより、パート・アルバイトの収入を抑えていた人は、月収12万5千円まで働くことができるようになります。

メモ

配偶者特別控除の拡大にあわせて、旦那さんの収入によって配偶者控除の額が段階的に変わる仕組みに改正されています。
詳細については、国税庁の最新情報をご確認ください。

国税庁 - No.1195 配偶者特別控除

なお、今回の改正で見直されたのは配偶者控除、配偶者特別控除だけです。所得税の壁は以前と変わらず103万円で、住民税(93万円~100万円)や社会保険(106万円、130万円)の壁も変わっていませんので、注意してください。

住民税の壁は住んでいる自治体によって3段階

住民税には所得に応じた「所得割」と全員が一律で負担する「均等割」があります。

まず、所得割について見てみましょう。

所得に応じて納める所得割100万円の壁

住民税の所得割は、基礎控除額が33万円で全国一律です。

給与収入がある人の課税所得は以下の式で計算することができます。

課税所得の計算式

給与年収 - 給与所得控除額(65万円) - 基礎控除額(33万円)

また、所得割には35万円の非課税限度額があります。これは所得が35万円以下の場合に、非課税になるというものです。給与収入がある場合は、非課税限度額(35万円)に給与所得控除額(65万円)を足すと100万円になります。したがって、所得が100万円を超えると納税義務が生じます。

みんなが一律で納める均等割税93万円~100万円の壁

住民税の均等割は基本的に全国一律で、平成26年度から平成35年度までは、市町村税が3,500円、道府県税が1,500円の合計5,000円が課されています。また、お住まいの自治体によって独自の税金を課しているところもあり、例えば長野県では平成26年度から森林整備のために、県民税に500円が上乗せされています。

均等割の非課税限度額は、自治体により28万円~35万円の範囲で差があり、生活保護基準の級地区分によって決められています。Google等で「お住まいの地域名 住民税 均等割」と調べると簡単に非課税限度額を調べることができますので、課税所得を調べる際の参考にしてください。

  • 1級地の場合→35万円
  • 2級地の場合→35万円×0.9=31.5万円
  • 3級地の場合→35万円×0.8=28万円

非課税限度額に差があるため、お住まいの自治体によって税金の壁は93万円~100万円の範囲で変動します。計算式は以下のとおりです。

課税所得の計算式

給与年収 - 給与所得控除額(65万円) - 基礎控除額(28万円~35万円)= 課税所得

個人事業主?副業?働き方で変わる確定申告の義務と限度額

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確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得にかかる税金(所得税・復興特別所得税)の額を計算して、国に申告するための手続きです。

例年2月の中旬から3月の中旬が申告期間となっており、確定申告書や決算書などの必要書類をそろえて税務署に申告・納税します。

なお、確定申告は所得によって不要になるケースがあります。条件と限度額は次のとおりです。

副業の収入が20万円以下であれば確定申告が不要になる

サラリーマン、パート・アルバイトなど給与収入がある場合、副業の年間収入が20万円以下であれば確定申告は不要です。

例えば、給料を2箇所から受けている場合、片方の会社で年末調整をしても、もう片方の会社では年末調整がされません。年末調整をされなかった方の給与収入が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、20万円を超えている場合は、確定申告を行って正しい納税額を申告・納税しなければなりません。

また、クラウドソーシングや内職をした場合、年間所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。給与収入と違い「所得」が判断の対象となりますので注意してください。

なお、年間の給与収入が2,000万円を超えている人は、副業のありなしにかかわらず確定申告が必要になります。

個人事業主は、所得が38万円以下であれば確定申告が不要になる

フリーランスなど個人事業主の人は所得が38万円(基礎控除)以下であれば、確定申告は不要です。

個人事業主は上で紹介した20万円ルールが適用されません。事業収入の他に副業として所得がある場合、金額にかかわらず確定申告が必要になるため注意してください。

また、確定申告をしない場合、赤字を繰り越せなかったり、ローンを組めなかったり、国民健康保険料が高くなることがありますので、基本的には確定申告をしておいたほうがよいでしょう。

所得が20万円以下でも住民税の申告が必要

「給与収入がある場合、副業の年間収入が20万円以下であれば、確定申告をする必要がない」と解説しましたが、これは所得税だけの話です。20万以下であっても住民税は自治体に申告・納税する必要がありますので混同しないようにしてください。

この記事のポイントをおさらいしましょう!

この記事のポイントは以下のとおりです

  • 所得税や住民税には税金の壁があり、ワークスタイルや生活環境によって何段階にも変化します。
  • 基礎控除38万円は、所得のある人すべてに一律で適用されます。個人事業主やフリーランス、専業主婦など給与収入がない人は、基礎控除額だけを使うことができます。
  • 給与所得控除65万円は、サラリーマン、公務員、パート・アルバイトなど、誰かに雇用されている人に適用されます。給与所得控除を使うと税金の壁が103万円になります。
  • 平性30年(2018年)からは新しく150万円という壁ができました。配偶者控除、配偶者特別控除の限度額が見直されていますが、本人の所得税や住民税、社会保険の壁は変わっていませんので注意してください。
  • 住民税には所得割と均等割りがあり、両方の条件を満たす税金の壁は93万円です。
  • サラリーマン、パート・アルバイトなど給与収入があり、副業の年間収入が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
  • フリーランスなど個人事業主の人は所得が38万円(基礎控除)以下であれば、確定申告は不要です。ただし、赤字が繰り越せないなど事業運営上デメリットがあるので、基本的には確定申告をしておいたほうがよいでしょう。
  • 所得が20万円以下でも住民税の申告は必要ですので、所得税の話と混同しないようにしましょう。

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